空調ゾーニングによるエネルギー削減
さくまオフィス
「1台のエアコンによる建築空間の冷暖房と内部気流のみによる温度の平均化」を試みた、3層357㎡ の事務所建築「さくまオフィス」です。
この計画では、空調ゾーニングと建築計画(ゾーニング、プランニング)をシンクロさせることで、一次消費エネルギーを削減しています。
main draft shaft とsub draft shaft計画建物内部はスキップした複層の床をもつ吹き抜け空間で、その中央ボイド部に階段を、周囲のフロアー部に執務ゾーンを設けたシンプルな構成としました。(図3)
(図3)断面図
中央の階段吹き抜けは空調室として、その最上部に冷房用エアコン を、最下部に暖房用エアコン を一台づつ設置して冷気(暖気)をそこへ吹き込むよう計画し、ここをmain draft shaft として位置付けました。
そしてmain draft shaft を上下する冷気(暖気)を周囲の執務ゾーンへと誘引するためにsub draft shaft を建物の隅部4 ケ所に計画し、sub draft shaft が面する外部建具との温度差で作る上昇気流(下降気流)によってmaindraft shaft の冷気暖気を外壁方向へと拡散させるように気流コントロールを行いました。(図4)(図4)main draft shaft とsub draft shaft
しかし、スラブの上をmain draft shaft からsub draft shaft へと流れる空気(気流)はわずかな流速となるため、フロアー上に備品等が置かれると十分な循環が発生しません。(図5)
(図5)CFD 解析
よってここでは、床面に設置される予定の収納量のすべてを壁面に収めることのできる建築計画と一体となった家具(furnitecture)をデザインし、それによって気流を妨げないクリアーな床面を確保しました。(写真5)
(写真5)大きな収納量を持つ壁面と一体になったfurnitecture
クロストーク空間
こうした空調ゾーニングによって生まれたオフィスの内部は、見通しがよく、ほどよい距離感の中を振り返れば、全員が着座のまま会話できる空間となって集団知を生み出す「クロストーク空間」をつくり出しています。
ネットワークで繋がり、テレワークが浸透した社会のなかにあっても、オフィスという共有空間を持つ意味はそこにこそあると考えます。(図6、7、写真6、7)(図6)様々なコミュニケーションが生まれるクロストーク空間
(図7)各階平面図
(写真6)main draft shaft と furnitectureを見る
(写真7)北東よりmain draft shaftの頂部を見る